キス魔なあいつ
「陽菜ちゃーんっ!お弁当食べよっ!」
「…そうね…」
そう言って開いたあたしのバックには、お弁当が二つ入っていた。
「あれ、陽菜ちゃん、これって…」
それに気づいたようで、百花は不思議そうな顔をする。
「いいのよ、…いいの」
「でも、悠くんのお弁当なしになっちゃうじゃんか!」
「……いいの。」
別にお弁当がなくたって、学校には購買だって、学食だってあるんだ。
困りはしない。
好き嫌いがない悠だもの。
食べられれば、何でもいいはず。
…それは、キスができれば、誰でもいいように。