キス魔なあいつ
「ねぇ、陽菜ちゃん!
お弁当、届けに行こう!」
「い、イヤよっ!
なんであたしがっ…、」
思わず声を荒げてしまい、ハッと口元を両手で押さえる。
そんなあたしを百花は、ちょっと笑った。
「……だって陽菜ちゃん、今日ずっと元気ないんだもん。
ポワーンって上の空だよ?」
「………」
…そんなことはない。
ただ、少し悠のことを考え過ぎていただけ…。
「ねぇ、陽菜ちゃん、言いたいことは言わなきゃダメだよ。
好きなら『好き』って言うの。
じゃないと、あたしと大地くんみたいになっちゃうよ?」
そう言って、百花はふふふ、とまた笑った。