キス魔なあいつ




百花と彼氏のちょっとノロケのようなケンカ話は、耳にタコができる程聞いている。


「言いたいことが言えないなら行動で示すしかないの。」

「………」

「行こう、悠くんのところ」


あぁ、妹みたいだと思っていたのに。
やっぱり、いざとなると百花は誰よりも頼りになるんだ。

意地っ張りなあたしの、背中を押してくれるんだ。


「……分かった。」


そう言えば、百花は待ってましたとばかりに、あたしの腕を引っ張った。


「よし!女は度胸っ!
行くよっ、陽菜ちゃん!」


なんか、違うような気もするけど、言わないでおこう…。




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