キス魔なあいつ
「…だぁれ?
陽菜ちゃんの知り合い?」
百花は、彼を警戒するように、あたしの背中に隠れ、小声で聞いた。
「……ちょっと、ね。」
「そっか。
じゃあ、後で詳しく教えてね」
そう言い残すと、百花はあたしを置いて去ってしまった。
気を遣ったつもりかも知れないが、あたしにとったら、最大の危機的状況に陥ったワケだ。
まさか、昨日の今日で、声をかけられるなんて思ってもいなかった。
それどころか、会うことになるなんて思ってもいなかった。
この状況の、気まずいこと極まりない。