キス魔なあいつ
いや、まさか、ないない。
じゃあ、なんで?
「あれ、先輩、気付いてなかったんですか?」
彼はまた目を見開いてから、今度は可笑しそうに目を細めた。
「あれ、見られてたんですよ?」
「“あれ”?」
「先輩が僕に、キスしたところ。あいつ、見てたんですよ。」
………は……?
あり得ない、ありえない、アリエナイ。
そんな…、悠に見られていたなんて…。
「今朝、言われました。
陽菜をよろしくなって。
とか言ってるくせして、めちゃくちゃ機嫌悪いし。
本当、手に終えません」
『陽菜をよろしくな』って…。
「あいつ、僕達が付き合ってる、って勘違いしてますよね。」