キス魔なあいつ
『……俺にも、キスして?』
『お幸せにね、陽菜』
ねぇ、悠。
バカよ、バカ。
なのに、こんなに愛おしい。
悠のことを想うだけで、胸がキュッと締め付けられるの。
こんなの、あり得ないでしょ?
でも、笑わないで聞いて欲しいことがあるのよ。
だから、あたしは今すぐ、悠に会いたい。
「えっ!? ちょっと、先輩っ!?」
あたしは勢いよく振り返って、走り出した。
悠はどこだろう。
探さなくてはならない。
呼び止めには応じない。
今、伝えなければならないことがあるから。
悠。
あたしね、
伝えたい想いがあるの…。