キス魔なあいつ
悠の答えに安堵した次の瞬間。
「…っ…!じゃあキスしてっ!悠くんなら、出来るでしょ?」
彼女の言葉に、あたしの身体中がドクンとイヤな音をたてた。
嫌だ、いや、イヤ…。
「……だ…め…」
あたしは聞こえないように、小さな声で悠に願った。
「俺、他に好きな人がいるんだ。それでも、いいの?」
ねぇ、だめ…。
他に好きな人がいるなら、尚更でしょう?
ねぇ、だめ…。
何のためにあたしが自分に言い聞かせたと思ってるの?
あたしは、我慢したのに…っ。