キス魔なあいつ
「……それでも、…いいの…」
いいワケなんか、ないのにっ、どうして?
やめて、やめて、やめて!
悠が、好きな人じゃなくてもいいなら…。
悠が、好きな人じゃなくてもキス出来るなら…。
ねぇ、お願いだから。
それは、あたしだけにして…。
悠は溜め息を吐いてから、彼女の頬に触れた。
あぁーっ…、もう…っ!
「…だめーーーっ!!」
あたしは物陰から飛び出して、悠と彼女に向かって叫んだ。
彼女は眉間にシワを寄せて、あたしの顔を見るなり怒りを露(あらわ)にしている。
悠は目を見開いて、何で?と言うような、驚きと疑問を浮かべている。