キス魔なあいつ
悠に、こんな姿もう見られたくなくて。
悠が、他の女の子と一緒にいるところなんて見ていたくなくて。
「はっ、ちょっと待てよ!」
悠があたしを呼び止めるのも聞かずに、走り出す。
そして屋上への階段を、一気に駆け上がった。
ドアを引けば、風があたしの涙をさらった。
けれど、次から次へと涙は留まることを知らない。
あぁ、いつの間に、こんなに弱くなったんだろう。
ドアの前に、そのままヘタヘタと座り込めみ。
「…う…ぅー……っ…」
今まで溜めていたものが、流れ出してしまう。