キス魔なあいつ




誰が、ほいほいと開けさせるものですかっ!


「絶っ対に、いやっ!」


まるで手中にはまってやるみたいじゃない。

それに、こんな泣きじゃくった姿なんて見せたくない。

絶対にイヤだ。



「陽菜ちゃん、お願い」

絶対に…っ。


「……陽菜ちゃん…」


…もうっ!


「…悠のバカッ!」

「知ってるよ」



あたし、悠にちゃん付けで呼ばれるのに滅法弱いらしい。

それをきっと知っていて、やってくる悠は確信犯以外の何者でもない。

だけど、イヤだと思ったって、結局は、あたしも悠に本気で抵抗なんて出来ないんだ。




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