キス魔なあいつ




追いかけて来たり、抱き締めて来たり。

ねぇ、勘違いするなって方が、おかしな話でしょう?


いつの間に、こんなに大きくなっちゃったの。

あたしを軽く包み込めるほどにまで。


だからなの?


「あたし、悠が分からない…」

悠の好きなものも、嫌いなものも分かるのに。

悠の気持ちだけは、分からない…。




悠は腕を緩めると、あたしの前に来て、両手であたしの顔を包んだ。


「陽菜、こっち向いて。」

あたしのことなんか無視で、あたしを支配する悠を、泣いちゃうほどに好きなんて。

笑えない。




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