キス魔なあいつ
あたしは悠の胸を押して、立ち上がった。
でないと、悠の目に服従させられてしまいそうだったから。
「悠にちゃんと好きな人がいるなら、その人としかキスしちゃいけないのっ!」
悠は後ろに手を突いたまま、あたしを驚きの目で見上げていた。
「あたしも、もう好きな人としかキスしない…っ!
たとえ一生出来なくなっても、好きな人としかしないっ!
だから悠も、もうしちゃいけないのっ!」
あたしは自己中だなと思う。
あたしが悠ともうキス出来ないから、悠も好きな人としかキスしちゃいけないなんて。