キス魔なあいつ
「本当?」
少し悲しいけど、これでいいのだと自分に言い聞かせる。
良かった、これで普通の“幼なじみ”だと。
しかしあたしがホッとすると、悠の完璧な笑顔が陰った。
「うん。 陽菜がどうとか関係ない。 俺は、陽菜としかしない」
「はる、…っ…、」
悠、バカじゃないのっ!それじゃ意味ないって分かってる!?
そんなあたしの言葉は、悠の唇に飲み込まれた。
悠のキスは、呼吸の隙さえ与えてくれない。
「…は…っ……んっ」
おかしい。
こんなことになるはずじゃ、なかったのに。
だめ…。
…だめ…。
もう、苦しいっ!
「えっ! 陽菜? おいっ!」
悠の焦った声の記憶を最後に、あたしは意識を手放した。