キス魔なあいつ
だけど、あたしが気絶した後。
ここまで背負って、あたしを運んでくれたのも悠だ。
一概に怒っているワケではない。
ちゃんと、感謝だってしている。
でもやっぱり。
「悠、最悪。 悠のバカ。」
「うわーん、陽菜ちゃーん!」
泣き真似をする悠が、可愛い。
かっこよくなっていっただけかと思っていたけれど、そうじゃないみたいだ。
「…あははっ」
屋上では本物のライオンになったかと思えば、今度は子ライオン以下。
これじゃあ、子犬だ。
なんて、小さく笑いが溢れた。