キス魔なあいつ
「だからね、悠も、あたしとキスしちゃだめ。
本当に好きな人としか、しちゃだめ。」
まるで、お母さんが子どもに何かを言い聞かせるようだと思った。
あたしは悠の親代わりみたいなものだったのだから、それはそれで当たりなのかとも思ったけれど。
「もう、だめだよ。」
そこで、悠が昨日と同じ、辛そうな顔をしていることに気付いた。
その瞳が切なすぎて、あたしの胸が締め付けられる。
「どうして陽菜は、分からないの?」
あたしがずっと何度も悠に心の中で問いかけてきたことを。
悠はあたしに直接問いかけた。