キス魔なあいつ




そして悠は、ははっと力なく、自嘲的に笑った。


「陽菜がキスしないなら、俺も一生出来ないじゃん」


そんなことがあるワケない。
だって、悠だ。
本気を出せば、すぐにその好きな人も悠を好きになるに決まってる。

あたしがもうキスしないことと、悠の一生キス出来ないことは、全く関係ない。

思わず、あたしは顔を傾げた。



「ほら、分かってない。」


悠が呆れるたように溜め息を吐くから、あたしはムカついて布団から飛び起きる。


「もうはっきり言いなさいよ!
分かんないでしょうっ!」


威張るところではないことは、重々分かっている。




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