キス魔なあいつ
飛び起きて、あたしは後悔した。
だって、目の高さが悠と同じになるのだ。
これじゃあ、悠の瞳にあたしの意志が吸い込まれて、また抵抗なんて出来なくなる。
それを見越しているように、悠の腕が、あたしへと伸びた。
ほら、やっぱり。
あたしの頭と背中に回った腕に抵抗出来ない。
あたしは意図も簡単に、悠に抱きすくめられてしまった。
「どうして陽菜は、俺を好きになってくれないの?」
右の耳元で、悠が余りにも辛そうに呟くから。
あたしの胸はキリキリと、また締め付けられる。