遠山先生と愉快な1年B組
しかし、今の付け爪女の発言で大島君の容疑は大きなものとなった。

「大島。お前なのか?」

好きな人が好き過ぎて、その子のものが欲しくなったという感じだろうか?

一言でまとめるとストーカー。

「いやっちょっ・・違いますよ!」

「よし。検査だ検査」

先生は問答無用にエナメルバックを机の上に置くと、
中を開けるように大島に催促した。

「任意だ。嫌だといったら令状を作ろう」

結局強制じゃないですか。

諦めた大島は渋々とチャックを開けた。

中を覗くと、男子の物にしては可愛らし過ぎる弁当入れの袋が見える。

「これはお前のか?」

「・・・・」

顔を下に向けたまま。

「向井。これはお前のか?」
 
バックの中を覗きこんで確認すると、首を縦に振った。

クラス中の視線が大島君に集まる。

耐え切れなくなった大島君は、小さく「ごめんなさい」と言った。




「美咲。許すのー?」

付け爪女が聞く。

「まぁ。タダで許すわけないよねー」向井の黒い笑みがきらめく。

しかし。


「さて。本当に大島なのだろうか」
 
そんなことを言ったのは、
さっきまでノリノリで大島君を問い詰めていた遠山先生だった。
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