僕らはみんな、生きている。
 翌日。

 風邪をひいたとバイト先に電話して、秀司と心療内科に行くことにした。

 そこまでするのは自分でもどうかと思ったけど、

 心配せずにはいられなかった。


 昨日、あした病院に行くなら付き添う、と言うと、秀司はようやく病院に行く気になってくれた。

 アパートの前に立って待っていると、バイクの音が近づいていてきた。

 来た。秀司のバイクだ。

「秀司。大丈夫?」

 顔をのぞきこむと、秀司の顔は能面のように無表情だった。
 こんな顔、初めて見た。

「なんとか……」

 大丈夫じゃないよ。わかるよ、私。
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