僕らはみんな、生きている。
 秀司のバイクに乗るのは久しぶりだったので、それは嬉しかったけど、まさかその行き先が病院だなんて。

 電車の線路沿いの車道をバイクが走り抜けていく。
 トラックのの排気ガスが舞い上がって、思わず息を止め、秀司の背中に顔を伏せた。


 駅を三つ通り越して、着いたところは
「桐生クリニック」
 という心療内科の病院だった。

 バイクを降りて、エレベーターに乗り、二階で降りた。
 出るとすぐドアがあって、あけたままになっている。その向こうに待合室が見えた。

 秀司は受付で事務の女性から問診の紙を手渡され、ソファに座り、ボールペンで書きこみ始めた。
 
 私はその隣に座って、病院の中を見渡した。
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