僕らはみんな、生きている。
 私の隣に座るなり、はあ、と深いため息をついた。

 それから受付で診察カードをもらい、診察台を支払って、待合室を出た。

 エレベーターに乗ると、秀司は私の顔を見ず、前を向いたまま

「統合失調症ですって言われた」

 と言った。

「あー、自分でもこんなに打ちのめされるなんて思ってなくてさぁ。
 
 なんていうか、夢も希望もない」

 それに対して、なにか言おうとしたけど、なんて言ったらいいのか、励ますための言葉が見つからなかった。

 秀司も私も黙りこんだ。
 沈黙が流れる中、エレベーターが一階に着いて扉が開いた。
 私は下を向いてエレベーターを降りた。
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