僕らはみんな、生きている。
 薬局で薬をもらった秀司は、すごく嫌そうな顔をしていた。
 口に出して言わなかったけど、心に効く薬をもらうことが嫌だったらしい。

 でも本の中に、

「誰でもなる可能性のある病気で」

 という一文があった。

 ってことは、私もなるかもしれないんだ。

 もしかしたら、この店内にも統合失調症の人がいるかもしれない。

 ひととおり読んで、本を閉じた。
< 26 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop