僕らはみんな、生きている。
 申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 でも、秀司は箸を取り、大丈夫そうなから揚げを口に入れた。

 無言で噛んでいる。
 
 それをじっと見つめた。

「おいしい」

「ほんと?」

「うん」

 嬉しくて自然と笑顔になった。

 でも、秀司の顔はあまり変わらなかった。
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