ストレイト
あの野球部の試合を観に行ってからしばらく経ったある日、いつものように百合と放課後の教室でお喋りをしていた。
グラウンドには、たくさんの人がいたけれど私には君だけが輝いて見えて、眩しかった。
「りんご、また桜木君の事見てるー!」
百合がからかうように私に向かってそう言ってきた。
「そういう百合だって…あれ?藤崎君は…?」
百合に言い返そうとしたが、グラウンドにさ藤崎君の姿がなかった。
「あそこ…」
百合はグラウンドから少し離れた体育の側を指差した。
藤崎君は女の子と2人で何かを話しているようだった。
それを見る百合の顔が切なげで見ている私まで悲しい気持ちになった。