ストレイト
その日の夜、田中君のあの時見せた表情が忘れられず、なかなか寝付けなかった。
そんな時、ケータイがメールを受信し音楽が流れた。
"月見てみて!"
桜木君からのメールを不思議に思いながら、窓を開けて月を見た。
月がとても大きく、赤く染まっていた。
ぼっーと見つめていると、再びケータイが鳴った。
今度は電話の着信だった。
そっと通話ボタンを押すと、ケータイ越しに彼の声が届いた。
「もしもし。俺です。桜木です。山本さん?」
声を聞いただけで、ドキドキと胸が慌ただしく動く。
「うん。…月凄いね…真っ赤」
「りんごみたいでしょ?」
一瞬、自分の事を呼ばれたかと思い、息が止まった。