ストレイト
エンドロールに入り、やっと目を覚ました桜木君は何度も私に謝ってきた。
「本当にごめん!いつから寝てた?重たかったでしょ?」
正直ドキドキし過ぎて重さどころではなかった。
「大丈夫だよ。そんなに謝らなくても…。疲れてたんでしょ?」
昨日1番応援を頑張っていたのは桜木君だったと思う。
「いや、でも俺昨日の練習試合、代打で1回打っただけで将斗や祐樹みたいにスタメンじゃなかったし…。」
眉毛を八の字に下げながら言ってくる桜木君は、なんだか叱られた子犬みたいで可愛らしく、思わず笑ってしまった。
「えっ?えっ?俺何か変なことした!?」
「ううん。何でもない。ごめんね。私、気にしてないからもう謝らないでね?」
それからは、桜木君が私に謝ってくる事はなく、他愛ない会話をした。