おじいさんと孫(仮題)
和やかにテンポ良く交わされていた言葉が途切れる。
チラリと相手を見れば、笑顔を浮かべて居ながらも鋭い眼差しを向けていた。
 
彼は、私のことを知っている。
多分、そういうことなのだろう。彼はカップを静かにカウンターへと置いた。
 そして、真っ直ぐに私を見る。
黒々とした短髪に、高級であろうスーツ。
鋭く放つ眼光を持つ目は一重まぶたでスッとしていて冷たい印象を受ける。
まだ、20代前半であろう彼の目に映る私の顔は、彼が言うようにそれよりも若く見えた。
 
 
「 僕は、あなたを探していました。」
 
 彼が、私を真っ直ぐに見据えて言い放つ。
それは、死刑囚の死の宣告にも似ていた。
 
「 僕は、あなたの、孫にあたるものです。」
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