誰も知らない物語
難題五題…ということは、間違いない。
あのかぐや姫のようだ。
しかし、この事実を素直に受け入れられることができるわけもなく…。
「これって…夢だろ?」
晴彦の言う通りだ。
夢に違いないと思ってしまう自分がいた。

「私を信じないと言うのか?」
瑠奈は信じようとしない俺たちをみて言った。
「無礼だぞ。月の姫の言うことが信じれぬのか?」
信じる信じないも…。

「何しに来た?」
冷静な健三は眉間に皺を寄せながら問い詰めた。

そうだ。
仮にこれが事実だとしたら、瑠奈は何のために月から地球の来たのだろうか。

「そうか…そなたたちは知らないのだな。」
とひとり納得気に言った。
「恋人を探しに来たのだ。」
「はぁー?」
一堂口を揃えて言った。
恋人探しって…。

「どういうことだよ?」
さすがの晴彦でもことの不思議に気づいたようだ。
「どうも、こうも、言ったままの意味だ。」
「それが分からない!」
健三ですら頭を悩ませていた。

「実はじゃな…」
と言いかけたところで少女は倒れてしまった。
「お、おい!」
慌てて駆け寄ると、どうやら気を失っているだけのようだ。
近くで見れば足に怪我を負っていた。
さっきの落下の時に追ったものだろうか…。

「どうするよ?」
晴彦が聞く。
「どうするって…このままじゃ。」
「確かに。」
このまま放置しておく訳にもいかず、
「とりあえず、ウッドハウスに運ぼう。」
「…そうね。怪我を負ってるし…。」
「聞きたいこともまだ聞けてねぇ。」
「そうだな。」

兎に角、ウッドハウスへ運ぶこととした。

突然、星空の流れ星と一緒に落ちてきた少女。
分かったのは…瑠奈という名前のかぐや姫。
…と、恋人探し。

やはり、優香が言い出しっぺのイベントには事件が起きる。

「なによ?」
「いや、べつに。」

流れ星の願い事は叶うことなく流れた。

その代わり、一つの物語が降っていた。
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