誰も知らない物語
「これ、甲斐さんから借りてきた。」
と優香が例の文学書を見せた。
「なにそれ?」
いきなり見せられても、さすがの健三でもなんなのかは理解できないようだ。
「作者不明の古典書。」
「なに?」
食いついた。
健三は目を光らせ、
「まっ、入れよ。」
と中に入れてくれた。
「守。」
先に瑠奈を入れた優香は俺の前に立ち止まった。
「な、なんだよ?」
いきなりで戸惑った。
雰囲気的に…よろしくなさそうだ。
「どうしたの?守らしくないよ…。」
「は?」
「いつもの守だったら後先考えないで行動してたじゃん。」
「…あぁ。」
何も言えない。
言われるがままだ。
「そんな守、私の知ってる守なんかじゃない。」
そう言って優香は健三の家に入っていった。
…じゃあ、お前が知ってる俺ってなんだよ。
俺はここの中で叫んだ。
でも、言葉にできるはずがなかった。
俺自身が、俺を知らないからだ。
何を信じ、何を疑い、どうするのか。
今の俺は…なにもわかっていない。
わかった気でいたから、こうなった。
俺は健三の家に入れなかった。
ただ、呆然と立っていることしかできなかった。
「ん?守じゃん。何しての?」
呆然と立っていたら突如後ろから晴彦が声をかけてきた。
「あっ、ほんとだ。」
美保もいた。
「守も健三に呼ばれたんだろ?入ろうぜ。」
と半ば強引に健三の家に入った。
中では健三と優香、瑠奈が既に話をしていた。
「健三。守たちも呼んだんだな。」
と晴彦が笑いながら言った。
晴彦にとって全員が揃うのは嬉しいことなのだろう。
「いや、呼んではない。」
「なにそれ?」
「…呼ぼうとしたら来たんだよ。」
「なるほど。」
健三のとこだ。
健三も何か分かったのだろう。
だから、みんなを呼ぼうとしたのだ。
「ん?守、どうした?顔色悪いぞ?」
「さっきも玄関の前でボーッとしたんだよ。」
と健三と晴彦が気をつかってくれた。
別に、体調は大丈夫なのだが…。
「ただの夏バテじゃなーい?守、普段こんな活動的じゃないから。」
「へいへい。」
美保だけは俺を馬鹿にした。
だけど、俺に言い返す元気は正直なかった。
と優香が例の文学書を見せた。
「なにそれ?」
いきなり見せられても、さすがの健三でもなんなのかは理解できないようだ。
「作者不明の古典書。」
「なに?」
食いついた。
健三は目を光らせ、
「まっ、入れよ。」
と中に入れてくれた。
「守。」
先に瑠奈を入れた優香は俺の前に立ち止まった。
「な、なんだよ?」
いきなりで戸惑った。
雰囲気的に…よろしくなさそうだ。
「どうしたの?守らしくないよ…。」
「は?」
「いつもの守だったら後先考えないで行動してたじゃん。」
「…あぁ。」
何も言えない。
言われるがままだ。
「そんな守、私の知ってる守なんかじゃない。」
そう言って優香は健三の家に入っていった。
…じゃあ、お前が知ってる俺ってなんだよ。
俺はここの中で叫んだ。
でも、言葉にできるはずがなかった。
俺自身が、俺を知らないからだ。
何を信じ、何を疑い、どうするのか。
今の俺は…なにもわかっていない。
わかった気でいたから、こうなった。
俺は健三の家に入れなかった。
ただ、呆然と立っていることしかできなかった。
「ん?守じゃん。何しての?」
呆然と立っていたら突如後ろから晴彦が声をかけてきた。
「あっ、ほんとだ。」
美保もいた。
「守も健三に呼ばれたんだろ?入ろうぜ。」
と半ば強引に健三の家に入った。
中では健三と優香、瑠奈が既に話をしていた。
「健三。守たちも呼んだんだな。」
と晴彦が笑いながら言った。
晴彦にとって全員が揃うのは嬉しいことなのだろう。
「いや、呼んではない。」
「なにそれ?」
「…呼ぼうとしたら来たんだよ。」
「なるほど。」
健三のとこだ。
健三も何か分かったのだろう。
だから、みんなを呼ぼうとしたのだ。
「ん?守、どうした?顔色悪いぞ?」
「さっきも玄関の前でボーッとしたんだよ。」
と健三と晴彦が気をつかってくれた。
別に、体調は大丈夫なのだが…。
「ただの夏バテじゃなーい?守、普段こんな活動的じゃないから。」
「へいへい。」
美保だけは俺を馬鹿にした。
だけど、俺に言い返す元気は正直なかった。