誰も知らない物語
健三は棚からあるものを取り出して全員に渡した。
「去年買った携帯用の通話マイクだ。役に立つはずだ。」
それは携帯に接続する通話マイクだった。
昨年、ある馬鹿馬鹿しいゲームをするにあたって…『リアリティーを出そう!』と言って晴彦が用意したものだ。
「…無くしたと思ったら健三がパクったのか?」
「アホ。晴彦が忘れていったんだよ。」
健三から受け取った通話マイク。
手が塞がっているときには大活躍するだろう。
「それじゃ、俺はここでネットを洗い出してみるわ。」
健三はインターネットによる情報収集に努めるようだ。
晴彦、美保は動いたところで宛にならないので、健三の手伝いとなった。
「じゃあ、私たちは外回りね。」
「あぁ、よろしく頼む。くれぐれも三人で動いてくれ。」
警戒している最大人物…朔夜。
外回りは誰かがやらなければいけない。
「任せろ。」
俺に、迷いはもうない。
「守じゃ頼りないなぁー。」
「うるせー。」
そういう晴彦は間接的にお荷物扱いなことに気づいていないようだ。
「優香、どうするよ?」
外回りといえ、宛がなければ無駄に時間を潰す。
しっかりとした計画が必要だ。
「今日は遅いから…一先ず守の家ね。」
「俺の家?」
「問題あり?」
「大有り。」
問題ありである。
時間的にも優香の寮はそろそろ門限が近い。
「そのまま泊まる気だろ?」
「だって…門限あるし。」
と困った顔をする。
そんな顔をされても…
「私は優香殿もいると楽しいわ。」
「はっ?」
いきなり口を挟むな。
この一言で全てが決まった。
やっぱり、こいつ嫌だ。
「じゃあ、守任せたよ。」
と健三が話を切った。
結局、今日はここで解散となった。
「守、私が泊まったら嫌なの?」
帰り際に俺を見る。
「いや、そういうわけでは…。」
言葉が濁る。
嫌なのではない。
うん、言葉では言えないが…つまり、問題ありなのだ。
俺は優香から顔を背けた。
「守殿、熱でもあるのか?顔が赤いぞ。」
ニヤニヤしながら瑠奈が笑う。
こいつ、馬鹿にしてる。
そういえば、瑠奈は俺の気持ちを見抜いているのだった。
「えっ?守、夏風邪?」
瑠奈の言葉を真に受けて心配する優香。
心配されるのは嬉しいが…
「うっせー、大丈夫だ!行くぞ!」
少しムキになって、早足で歩いた。
「去年買った携帯用の通話マイクだ。役に立つはずだ。」
それは携帯に接続する通話マイクだった。
昨年、ある馬鹿馬鹿しいゲームをするにあたって…『リアリティーを出そう!』と言って晴彦が用意したものだ。
「…無くしたと思ったら健三がパクったのか?」
「アホ。晴彦が忘れていったんだよ。」
健三から受け取った通話マイク。
手が塞がっているときには大活躍するだろう。
「それじゃ、俺はここでネットを洗い出してみるわ。」
健三はインターネットによる情報収集に努めるようだ。
晴彦、美保は動いたところで宛にならないので、健三の手伝いとなった。
「じゃあ、私たちは外回りね。」
「あぁ、よろしく頼む。くれぐれも三人で動いてくれ。」
警戒している最大人物…朔夜。
外回りは誰かがやらなければいけない。
「任せろ。」
俺に、迷いはもうない。
「守じゃ頼りないなぁー。」
「うるせー。」
そういう晴彦は間接的にお荷物扱いなことに気づいていないようだ。
「優香、どうするよ?」
外回りといえ、宛がなければ無駄に時間を潰す。
しっかりとした計画が必要だ。
「今日は遅いから…一先ず守の家ね。」
「俺の家?」
「問題あり?」
「大有り。」
問題ありである。
時間的にも優香の寮はそろそろ門限が近い。
「そのまま泊まる気だろ?」
「だって…門限あるし。」
と困った顔をする。
そんな顔をされても…
「私は優香殿もいると楽しいわ。」
「はっ?」
いきなり口を挟むな。
この一言で全てが決まった。
やっぱり、こいつ嫌だ。
「じゃあ、守任せたよ。」
と健三が話を切った。
結局、今日はここで解散となった。
「守、私が泊まったら嫌なの?」
帰り際に俺を見る。
「いや、そういうわけでは…。」
言葉が濁る。
嫌なのではない。
うん、言葉では言えないが…つまり、問題ありなのだ。
俺は優香から顔を背けた。
「守殿、熱でもあるのか?顔が赤いぞ。」
ニヤニヤしながら瑠奈が笑う。
こいつ、馬鹿にしてる。
そういえば、瑠奈は俺の気持ちを見抜いているのだった。
「えっ?守、夏風邪?」
瑠奈の言葉を真に受けて心配する優香。
心配されるのは嬉しいが…
「うっせー、大丈夫だ!行くぞ!」
少しムキになって、早足で歩いた。