誰も知らない物語
『やっほー!元気?』
『守、悔しいだろ~?』
と遠くから二人の声が聞こえた。
得意気なところを聞くと、やはり二人が解いたのだろう。
『かぐや姫はどんなことをしても結婚したかった相手だ。そんな相手に帝は“振られた”ようなもんだ。』
「…すまんなのじゃ。」
と健三の言葉に瑠奈が謝った。
そうか、張本人がここにいた。
『そんな相手から振られた直ぐに“不老不死の薬です。使ってください”なんて言われても?』
『…使わない。』
『そう。しかも、時の権力者だ。なんでも望みは叶う人にとっては…ある意味屈辱的だったと思う。』
と淡々と語った。
『だから、“捨てる”とかぐや姫はよめたんだってさ。』
最後のところはどこか嫌々だ。
自分の説じゃないのが気にくわないのか。
まぁ、あの二人が考えたことだから尚更なのだろう。
『俺だったら嫌だもん!』
健三の奥で叫ぶ晴彦。
さすが、この間振られた奴の意見だ。
何処と無く…素直に頷ける。
一つ目の疑問はわかった。
しかし、二つ目の関連性が俺にはイマイチ分からない。
『それが、設楽さんが借りた本で分かる。』
と健三はきっぱりと言い切った。
優香が借りた本。
確かにあと時…「遣いは五人いた」と甲斐さんも言っていた。
瑠奈に貸していたイヤホンを再び優香に渡す。
『設楽さん。蓬莱の薬のことが書かれているはずだ。』
と健三が優香に言う。
優香はページを巡り探す。
「優香、あったか?」
「うーんと…あったわ!」
『健三あったぞ。』
『蓬莱の薬は富士の山に捨てたらしいんだ。』
と健三のところに本はないはずなのに簡単に先をよんでしまう。
「えぇ、そうよ。蓬莱の薬は富士山に捨てられているわ。」
『…だが、その記述は嘘。』
『そうだな。蓬莱の薬は捨ててないからな。』
蓬莱の薬が捨てられていないことは実証済み。
これはある意味唯一の確実のものでもある。
『…なら、何故そのような記述があるか?』
健三は俺たちに答えを求めているようだが、
『わかるかよ!』
…俺には無理である。
「瑠奈さんへのヒント?」
首をかしげる俺を他所に答えるが、自信は無さそうだ。
しかし、
『多分そうだと俺も思った。』
と健三も優香と同じ考えであった。
だが、その根拠が見当たらない。
『守。もし、守が誰かと音信不通の別れをするとき、また会うためにどうする?』
と健三が珍しく優しく聞いてくる。
『手がかりを残す。』
誰かと音信不通の別れをし、また会うためにはどうするか。
現代ではいろいろな手法があるかもしれないが、竹取物語の時代だ…方法は一つ。
文字。つまり、文。
『守、悔しいだろ~?』
と遠くから二人の声が聞こえた。
得意気なところを聞くと、やはり二人が解いたのだろう。
『かぐや姫はどんなことをしても結婚したかった相手だ。そんな相手に帝は“振られた”ようなもんだ。』
「…すまんなのじゃ。」
と健三の言葉に瑠奈が謝った。
そうか、張本人がここにいた。
『そんな相手から振られた直ぐに“不老不死の薬です。使ってください”なんて言われても?』
『…使わない。』
『そう。しかも、時の権力者だ。なんでも望みは叶う人にとっては…ある意味屈辱的だったと思う。』
と淡々と語った。
『だから、“捨てる”とかぐや姫はよめたんだってさ。』
最後のところはどこか嫌々だ。
自分の説じゃないのが気にくわないのか。
まぁ、あの二人が考えたことだから尚更なのだろう。
『俺だったら嫌だもん!』
健三の奥で叫ぶ晴彦。
さすが、この間振られた奴の意見だ。
何処と無く…素直に頷ける。
一つ目の疑問はわかった。
しかし、二つ目の関連性が俺にはイマイチ分からない。
『それが、設楽さんが借りた本で分かる。』
と健三はきっぱりと言い切った。
優香が借りた本。
確かにあと時…「遣いは五人いた」と甲斐さんも言っていた。
瑠奈に貸していたイヤホンを再び優香に渡す。
『設楽さん。蓬莱の薬のことが書かれているはずだ。』
と健三が優香に言う。
優香はページを巡り探す。
「優香、あったか?」
「うーんと…あったわ!」
『健三あったぞ。』
『蓬莱の薬は富士の山に捨てたらしいんだ。』
と健三のところに本はないはずなのに簡単に先をよんでしまう。
「えぇ、そうよ。蓬莱の薬は富士山に捨てられているわ。」
『…だが、その記述は嘘。』
『そうだな。蓬莱の薬は捨ててないからな。』
蓬莱の薬が捨てられていないことは実証済み。
これはある意味唯一の確実のものでもある。
『…なら、何故そのような記述があるか?』
健三は俺たちに答えを求めているようだが、
『わかるかよ!』
…俺には無理である。
「瑠奈さんへのヒント?」
首をかしげる俺を他所に答えるが、自信は無さそうだ。
しかし、
『多分そうだと俺も思った。』
と健三も優香と同じ考えであった。
だが、その根拠が見当たらない。
『守。もし、守が誰かと音信不通の別れをするとき、また会うためにどうする?』
と健三が珍しく優しく聞いてくる。
『手がかりを残す。』
誰かと音信不通の別れをし、また会うためにはどうするか。
現代ではいろいろな手法があるかもしれないが、竹取物語の時代だ…方法は一つ。
文字。つまり、文。