誰も知らない物語
「守殿にはでんしゃ…とやらの中でも話したが…今の月は衰退しとるのじゃ。」
「衰退?」
優香が食らいつく。
この手の話は好きそうだ。
「かつての月はこのような長閑な場所。」
「それが今では?」
「文明に頼った私たちはー…。」
そのあとのことは話さなかった。
話さなくてもわかる気がする。
「…なんか、他人事じゃないみたい。」
優香が空を見上げながら言った。
あのときと同じ星空だった。
数えきれない星の数ー都心じゃ考えられない。
「…そうだな。」
そして、優香の言いたいこともわかる。
俺たちがいつか大人になった時…
月の話はきっと他人事ではなくなる。
「でも、私は守殿たちのように昔と変わらない心があるだけで嬉しいぞ。」
と、はじめて食べるアイスにかじりついた。
「そうかね?」
俺もアイスを食べる。
「そんなもんよ。」
優香は最後の一口を口一杯に食べた。
そして、頭を押さえた。
月の辿った衰退。
それは文明開化によるものだと瑠奈は言った。
その話…他人事ではない。
優香は考え込むように空を見上げた。
そうだなと俺も思う。
この星が辿る道が月と同じならば…
俺たちはどうするのか。
それを瑠奈が警告してくれた。
俺は他愛ない会話で珍しく、そう深く感じた。
「でもさ。」
「なによ?」
「瑠奈の言う変わらない心があるなら、きっと変わらない方法だってあるっしょ。」
簡単に言ってみたものの、その方法なんか知るよしもない。
でも、
「そうね。」
優香が笑ってくれた。
俺にはこれで充分なんだ。
コンビニにいつまでもいれない。
満月の下、寝るところもなく途方にくれた。
野宿…というわけにはいかない。
かと言って、どこかに泊まるほどのお金はない。
「どうすんの?」
「どうするか…。」
もしこの場に俺と健三、晴彦だけなら野宿に即決であろう。
…が、今現在ここにいるのは一応女の子である。
そんな野蛮なことはさせられない。
ましてか…お姫様だし…。
「最悪のことは考えないと…だよね。」
妙な溜めがあったのが気になるが…まぁそうなる。
「既にそのシナリオに近いけどな。」
「…やっぱり?」
苦笑いする優香。
その優香の様子を見て瑠奈も察しただろう。
「私もか?」
かなり驚いているようだが、
「当たり前だ。」
容赦なく答えてやった。
落胆する様子を見せるが、
「まっ、悪くはないんじゃない?」
優香が気持ちを切り替えた。
「夜のピクニック…的なね!」
“ピクニック”だなんて、そんなウキウキしたものでもないと思うが…優香がそう思うならそれはそれでいいかも。
「…なら、せめて私に場所を決めさせてくれなのじゃ。」
観念したのか俯きながらも渋々言う。
「まぁーいいですよ、お姫様。」
俺は分かりやすく皮肉ってみた。
瑠奈は横目で俺を見て、クスッと笑った。
「衰退?」
優香が食らいつく。
この手の話は好きそうだ。
「かつての月はこのような長閑な場所。」
「それが今では?」
「文明に頼った私たちはー…。」
そのあとのことは話さなかった。
話さなくてもわかる気がする。
「…なんか、他人事じゃないみたい。」
優香が空を見上げながら言った。
あのときと同じ星空だった。
数えきれない星の数ー都心じゃ考えられない。
「…そうだな。」
そして、優香の言いたいこともわかる。
俺たちがいつか大人になった時…
月の話はきっと他人事ではなくなる。
「でも、私は守殿たちのように昔と変わらない心があるだけで嬉しいぞ。」
と、はじめて食べるアイスにかじりついた。
「そうかね?」
俺もアイスを食べる。
「そんなもんよ。」
優香は最後の一口を口一杯に食べた。
そして、頭を押さえた。
月の辿った衰退。
それは文明開化によるものだと瑠奈は言った。
その話…他人事ではない。
優香は考え込むように空を見上げた。
そうだなと俺も思う。
この星が辿る道が月と同じならば…
俺たちはどうするのか。
それを瑠奈が警告してくれた。
俺は他愛ない会話で珍しく、そう深く感じた。
「でもさ。」
「なによ?」
「瑠奈の言う変わらない心があるなら、きっと変わらない方法だってあるっしょ。」
簡単に言ってみたものの、その方法なんか知るよしもない。
でも、
「そうね。」
優香が笑ってくれた。
俺にはこれで充分なんだ。
コンビニにいつまでもいれない。
満月の下、寝るところもなく途方にくれた。
野宿…というわけにはいかない。
かと言って、どこかに泊まるほどのお金はない。
「どうすんの?」
「どうするか…。」
もしこの場に俺と健三、晴彦だけなら野宿に即決であろう。
…が、今現在ここにいるのは一応女の子である。
そんな野蛮なことはさせられない。
ましてか…お姫様だし…。
「最悪のことは考えないと…だよね。」
妙な溜めがあったのが気になるが…まぁそうなる。
「既にそのシナリオに近いけどな。」
「…やっぱり?」
苦笑いする優香。
その優香の様子を見て瑠奈も察しただろう。
「私もか?」
かなり驚いているようだが、
「当たり前だ。」
容赦なく答えてやった。
落胆する様子を見せるが、
「まっ、悪くはないんじゃない?」
優香が気持ちを切り替えた。
「夜のピクニック…的なね!」
“ピクニック”だなんて、そんなウキウキしたものでもないと思うが…優香がそう思うならそれはそれでいいかも。
「…なら、せめて私に場所を決めさせてくれなのじゃ。」
観念したのか俯きながらも渋々言う。
「まぁーいいですよ、お姫様。」
俺は分かりやすく皮肉ってみた。
瑠奈は横目で俺を見て、クスッと笑った。