チョコレートトラップ
「なーんだ、残念。

 じゃあ、どうして

 こんな所にいるのよ」


やっぱりこの事を

親友の凛には黙っていられない。


私は重い身体を持ち上げると、

凛に向かって手招きした。


「私、……昨日チョコ入れた

 下駄箱を間違えたみたい」


凛に耳打ちすると、

私は目の前の下駄箱を指差す。


その方を凛がじっと見た瞬間、

目がグッと見開いたような

気がした。


そして視線を私へ戻すと

凛が溜め息混じりに呟いた。


「ご愁傷様。高橋くんの場所と

 ウソタと間違えるなんてね。

 芹菜ってば本当

 そそっかしいんだから」






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