ユアサ先輩とキス・アラモード
ふいに、羞恥心に火が付き、ネズミ花火のように胸の中で激しく動き回った。一度意識すると止まらない。頭がクラクラし、集中できない。
(さっきまで気が動転して忘れていたけど、これからしばらくの間、大好きな湯浅先輩に見つめられたり、肌が触れるほど近くにいて指導してもらったり、もしかしたら弓を持つ手を直す時に握られるかもしれない。キャーッ、どうしよう!)
頭が沸騰し、心臓が宇宙に届きそうなほど口から出たり入ったりした。
真帆は今まで誰とも付き合った事がない。おまけに男子と手をつなぐのは、お約束のフォークダンスを踊る時だけ。話すのはいつも普通を絵に描いた、ウブな男子ばかり。ユアサのように、容姿、頭脳、運動神経すべてがそろった男は遠くから見るだけ。自分のすべてが平凡だから、相手になんてしてくれないと思っていた。
(でも、私にもそのチャンスが来た。私にもそのチャンスが来た!)
嬉しさのあまり、とうとう頭が誤作動を起こしだした。このまま死んでも後悔はしない、とまで思った。
(私、幸せですぅぅぅぅぅぅぅぅ!)
「ぬぐっ!」
突然、湯浅が真帆の両頬をつかみ、力強く左右に引っ張った。彼の目は、冬のオホーツク海のように冷たかった。
「ひたいっ、ひたひっ!」
「嫁に行けないほどブサイクな顔にしてやろうか?」
「ひやめてくりゃひゃい!(やめてください!)」
「童顔の役目を知っているか?純真無垢に生きて、多くの人に希望を与える事だ。なのに、さっきの顔はなんだ。食欲、色欲など、あらゆる欲望に侵され淫らな事この上ない。ああ、なんて淫らなんだ!淫ら過ぎる!あまりの淫らさに、もし利根川に入ればピンク色になりそうだ!」
(そ、そんなに淫らだった?)
「あの淫らぶりは、お前の父母だけでなく、この世につないでくださったご先祖様に恥をかかすものだ。お家断絶の危機だ!いっそ指導者の俺が淫らで淫らで、どうしようもなく淫らに作りかえれば、もしや元の純真無垢に返るやもしれぬ。どうだ、作り変えてやろうか」
(さっきまで気が動転して忘れていたけど、これからしばらくの間、大好きな湯浅先輩に見つめられたり、肌が触れるほど近くにいて指導してもらったり、もしかしたら弓を持つ手を直す時に握られるかもしれない。キャーッ、どうしよう!)
頭が沸騰し、心臓が宇宙に届きそうなほど口から出たり入ったりした。
真帆は今まで誰とも付き合った事がない。おまけに男子と手をつなぐのは、お約束のフォークダンスを踊る時だけ。話すのはいつも普通を絵に描いた、ウブな男子ばかり。ユアサのように、容姿、頭脳、運動神経すべてがそろった男は遠くから見るだけ。自分のすべてが平凡だから、相手になんてしてくれないと思っていた。
(でも、私にもそのチャンスが来た。私にもそのチャンスが来た!)
嬉しさのあまり、とうとう頭が誤作動を起こしだした。このまま死んでも後悔はしない、とまで思った。
(私、幸せですぅぅぅぅぅぅぅぅ!)
「ぬぐっ!」
突然、湯浅が真帆の両頬をつかみ、力強く左右に引っ張った。彼の目は、冬のオホーツク海のように冷たかった。
「ひたいっ、ひたひっ!」
「嫁に行けないほどブサイクな顔にしてやろうか?」
「ひやめてくりゃひゃい!(やめてください!)」
「童顔の役目を知っているか?純真無垢に生きて、多くの人に希望を与える事だ。なのに、さっきの顔はなんだ。食欲、色欲など、あらゆる欲望に侵され淫らな事この上ない。ああ、なんて淫らなんだ!淫ら過ぎる!あまりの淫らさに、もし利根川に入ればピンク色になりそうだ!」
(そ、そんなに淫らだった?)
「あの淫らぶりは、お前の父母だけでなく、この世につないでくださったご先祖様に恥をかかすものだ。お家断絶の危機だ!いっそ指導者の俺が淫らで淫らで、どうしようもなく淫らに作りかえれば、もしや元の純真無垢に返るやもしれぬ。どうだ、作り変えてやろうか」