ユアサ先輩とキス・アラモード
ドア越しに湯浅の声が聞こえた。
「はい、います」
「話しがある。できるだけ早く着替えをすませて来てくれ」
「わかりました」
小さな胸騒ぎがした。ユアサが何を言いたいかすぐわかった。
「何かあったのかな?」
美咲は目を真っ赤にし、鼻をグスグスさせ言った。真帆は美咲を力強く抱きしめた。
「呼ばれたから行くね」
「うん。気持ち聞いてくれてありがとう」
大急ぎで着替えると、射場に出た。すると上座にある神棚のそばに、すでに着替えた樹里と制服姿の湯浅がいた。よく見かける学ランも、湯浅が着ると高級ブランドに見えるから不思議である。そばに行くと、これから樹里と激しい攻防を繰り広げるだろう事も忘れ、『今日もカッコイイ』と見惚れた。
「やっと来たわね。私より早く来たくせに、どれだけ着替えに手間取ってんのよ」
「色々とやる事があるの」
「ロクに弓も引けないクセに、人の恋愛相談なんか乗っている場合じゃないでしょ。一回でも多くゴム弓でも引いたら」
「ちょっと……盗み聞きしていたの。失礼な人」
「あんだけ大声で叫んでいたら、射場までダダ漏れよ」
「とにかく。人のやる事にいちいちケチつけないでよ。私だって考えてやっているんだから」
「テストで赤点ギリギリの点数しか取れない頭でいくら考えても、妙案なんか浮かばないわよ。私くらい取ってからにしないさいよ」
真帆は激しくプライドを傷つけられ、闘志に火がついた。
頭が悪いのは十分知っている、少なからずこのままでは学校生活が危ないとも思っている。しかしそれを大好きな湯浅の前で言われるのは、一番イヤだった。
『親の仇』と言わんばかりに、真帆は樹里をニラみつけた。樹里もかかってこいとばかりにニラみ返した。今にも取っ組み合いのけんかになりそうである。
「はい、います」
「話しがある。できるだけ早く着替えをすませて来てくれ」
「わかりました」
小さな胸騒ぎがした。ユアサが何を言いたいかすぐわかった。
「何かあったのかな?」
美咲は目を真っ赤にし、鼻をグスグスさせ言った。真帆は美咲を力強く抱きしめた。
「呼ばれたから行くね」
「うん。気持ち聞いてくれてありがとう」
大急ぎで着替えると、射場に出た。すると上座にある神棚のそばに、すでに着替えた樹里と制服姿の湯浅がいた。よく見かける学ランも、湯浅が着ると高級ブランドに見えるから不思議である。そばに行くと、これから樹里と激しい攻防を繰り広げるだろう事も忘れ、『今日もカッコイイ』と見惚れた。
「やっと来たわね。私より早く来たくせに、どれだけ着替えに手間取ってんのよ」
「色々とやる事があるの」
「ロクに弓も引けないクセに、人の恋愛相談なんか乗っている場合じゃないでしょ。一回でも多くゴム弓でも引いたら」
「ちょっと……盗み聞きしていたの。失礼な人」
「あんだけ大声で叫んでいたら、射場までダダ漏れよ」
「とにかく。人のやる事にいちいちケチつけないでよ。私だって考えてやっているんだから」
「テストで赤点ギリギリの点数しか取れない頭でいくら考えても、妙案なんか浮かばないわよ。私くらい取ってからにしないさいよ」
真帆は激しくプライドを傷つけられ、闘志に火がついた。
頭が悪いのは十分知っている、少なからずこのままでは学校生活が危ないとも思っている。しかしそれを大好きな湯浅の前で言われるのは、一番イヤだった。
『親の仇』と言わんばかりに、真帆は樹里をニラみつけた。樹里もかかってこいとばかりにニラみ返した。今にも取っ組み合いのけんかになりそうである。