お望み通り、させてあげようか


ここぞと言うときには低くなる声が、ただでさえ振り切れそうな気分を余計にこうぶらせる。

くすっと笑みを浮かべる唇は、血の色をうっすらと感じさせる桜貝のよう。貪りたくなるくらい、魅力的。


自然とそこを視線で辿りながら、ある一カ所で目を留める。


彼の呼吸に合わせて、悩ましく動く。

そこに、私の舌を這わせて、蹂躙したい。

ご馳走を前にした獣よろしくゴクリと生唾を嚥下して、獲物に標的を定めると、私は勢いよく噛みついた。


――刷毛ではいたように徐々に細くなる口角の斜め下、小さな小さな彼のホクロ。


せっかく綺麗な肌してるのに、ホクロがあるのってたまらない。


ペロ、と舌なめずりをすれば、「…エロ」掠れた声で彼が囁いた。


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