すべて奪って、感じさせて
 背中に固いドアの感触を感じたまま、彼の狂おしいキスと扇情的な抱擁を受け止める。いつのまにか彼の指が私の素肌を撫でていて、私は思わず切ない吐息を漏らした。

 彼が耳元で満足そうに笑った。



「もっと感じろよ」



 低い掠れ声と同時に、彼の指が私の待ち望んでいた箇所へたどり着く。



「もっと乱れろよ」



 言葉とは裏腹に、彼の指は私をいたわるように優しい。わけがわからなくなって、私はただ彼にしがみついた。



「俺のこと、ほしがって」



 熱くなって融け出しそうな体が、急に宙に浮く。そのままベッドまで運ばれた。



「俺だけを見ろよ」



 彼の顔が涙でぼやける。



 信じてもいいの――?



 息をする間もないほどの愛撫に、溺れて、乱れて、のぼりつめる。

 高みに達した彼は、私の頭を撫でた。



「君をフォローするのは俺。この先、いつも、どんなときも……」
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