恋に恋する乙女達へ
「え、寮長弾けるのー?」
「弾いて、弾いて!!」
昌はケースからバイオリンを取り出すと、堂々と構える。
「では、僭越ながら」
流れるような動作で弦に弓を近づける。
ギー、グー、ゲー
「ちょっ!!スットプ、スットプ!寮長!」
「なんだ?」
ふてぶてしい態度で、演奏(?)を止める。
「なにそれ?!」
「弾けないんじゃん!!」
「格好だけかよ!」
「誰も弾けるなんて言ってないだろう。そもそも、私のじゃないって言ったろ?」
「に、したって。ねぇ?」
「うん、ない」
「ない。ひどい」
「うるさいぞ、僭越ながら、って言ったろうが!」
段々とむきになる昌。