恋に恋する乙女達へ
「寮長のご家族の方だったんですか」
ようやく落ち着きを取り戻した一同。
「恭だ。今年、小森に入学した。一個下だ」
「寮長の、弟さんですか?全然似てない」
化粧班班長が、まじまじと見比べながら言う。
「当たり前だろう。違う人間なんだから」
「いや、そういうんじゃなくて」
「それより、服、着替えさせてあげたら?可哀相よ、いい加減」
美紀が、先程からずっと下を向いている恭を気遣って言う。
「だめだ」
昌が即答する。
「恭、顔を上げろ」
恭を中心に、波のようにざわめきが伝わる。
「きれい」