溶ける彼女
今日は彼女と、涼しい彼女の部屋で勉強会をやることになっている。
お互いまったく宿題に手をつけていないのだから、困ったものだ。
彼は風鈴が揺れる縁側で寝転がり、はぁ、と溜息をついた。
「あ、幸せ逃げるんだった」
吸い込んでみるも、幸せが逃げた感じは変わらなかった。
幸せとはきっと、儚いものなのだ。
彼はそんなことを思いながら、気持ちいい風に目を細めた。
風鈴の音で夏の終わりが始まる気がした。