溶ける彼女
「あーそっち深いから危ないよ」
「おいで、一緒に虹作ろう」
女の子は虹、という言葉に瞳を輝かせた。
彼女も前にこんな感じだったので、同レベルだな、と彼は思ったが少し笑って心の内に留めておいた。
彼女に言ったら怒られるに違いない。
「ほら、こうやってね、足で空に水を蹴るんだよ。バシャバシャバシャーって」
女の子が彼女の真似をして足をばたつかせると、空に小さくて微かな虹ができた。
「......にじだ」
女の子が嬉しそうに虹を見つめる。