クランベールに行ってきます
ロイドとラクロット氏の協議の結果、結衣の存在はこれまで通り、関係者以外には極秘扱いとなった。
王子の代わりにエライ人に会ったり、会食に出席したりはしなくてもよくなっただけで、今までと変わりない。
事情を知らない人に、うっかり声をかけられたりしてはいけないので、変声機を飲み、身なりも王子と同じに整える。
ただ、寝泊まりはロイドの部屋に移り、食事は王子が食べてしまうので、ラクロット氏がロイドの部屋まで運んでくれる事になった。ロイドがこっそり引き上げさせたブラーヌの分が流用されるらしい。
同じ場所で王子と二人同時にいるところを目撃されてはまずいので、連絡を取り合って、移動する時は居場所の確認を常に行う事とした。
作業開始時間に研究室にやってきたローザンは、ロイドと結衣から事の真相を告げられ、作業を打ち切り、通常業務に戻るため、医務室に引き上げていった。
彼は翌々日八時に、結衣が日本へ帰還する時、もう一度手伝いにやってくる。
王子の捜索隊も昨日中に解散したらしい。
結衣の周りの日常が、結衣のいなかった時へと、ゆっくり移行していく。
ロイドは午前中、残処理にバタバタ忙しく、その間結衣はいつものように、窓辺の椅子で絵本を見たり、小鳥を撫でたりしていた。
残作業が終わると、ロイドは報告書を持って王の元へ報告に行った。その後結衣も呼ばれて、王と謁見する事になった。
王は事件の顛末について、申し訳なさそうに詫びた後、またしてもロイドとの結婚について尋ねた。結衣は現在相談中という事にして言い逃れ、研究室に戻った。