クランベールに行ってきます
「もっとも、オレが試したのは男用だから女用のサンプルは欲しかったところだ」
途端に結衣はロイドを睨むと益々頑なになった。
「私を実験台にしようとしてたわね?! 絶対、飲まない!」
「男用も女用も高低の設定が違うだけで、基本仕様は一緒だ」
ロイドがいくら取り繕っても、結衣はもう聞く耳持たない。
「絶対、イヤ!」
結衣が言い放つと、ロイドはうんざりしたように顔をしかめて小さく舌打ちした。
そして、いきなり結衣を押し倒した。
小さな悲鳴を上げて床に背中をつけた結衣が、抗うように伸ばした両の手首をロイドがすかさずつかまえる。
大きな身体でのしかかられ、身体全体で押さえ込まれ身動きができなくなった。
ロイドはつかまえた結衣の両手首を左手ひとつで掴むと、頭の上で床に押さえつけた。
「イヤッ! 放して!」
今にも陵辱されそうなこのシチュエーションに恐怖して叫ぶと、結衣は目の前に迫ったロイドの顔を涙目で睨んだ。
ロイドは空いた右手で銀の粒をつまみ、結衣の目の前に差し出すと冷ややかに命令した。
「口を開けろ」
結衣は銀の粒をチラリと見た後、目と口を同時に固く閉じて横を向いた。
再びロイドの舌打ちが聞こえ、乱暴にあごを掴まれると無理矢理正面を向かされた。
目を開くと不機嫌そうなロイドが見下ろしている。
「なんとしても、飲んでもらう」
憮然としてそう言った後、ロイドは意地悪な笑みを浮かべた。
「両手がふさがってるからな。口移しだ」
ロイドは舌を出すと、舌先に乗せた銀の粒を結衣に見せつけた。
思わず逃れようと抵抗するが、相変わらず身動きができない。
近付いてくるロイドの顔を正視できず、結衣は目を閉じて叫んだ。
「イヤ————ッ!」
叫んで開いた口の中に何かが飛び込んできた。
どうやら結衣の口の中にロイドが銀の粒を吐き出したらしい。
予想外の事態に結衣は、咄嗟に目を開き息を吸い込んだ。
その拍子に飛び込んできたものが、喉の奥へゆっくりと滑り落ちていく。
吐き出そうと頭を少し持ち上げたところを、ロイドが手の平で口を塞いで頭を床に押しつけた。