クランベールに行ってきます
「もしかして、王子様じゃない?」
「殿下?」
ロイドが訝しげに結衣を見つめる。
「王子様が王宮内のどこかに隠れてて、料理を食べてるのよ。客室の幽霊も王子様じゃないの?」
結衣は興奮して、自説推理を展開したが、ロイドは冷めた調子で問い返した。
「おまえの推理はなかなか素晴らしい。だが、一つ難がある。王宮内は捜索隊が、地下の霊廟に至るまで、真っ先に隈無く捜索したんだ。王宮外はオレのマシンが同時に捜索している。その時に殿下はどこにいらしたのか、教えてくれないか?」
結衣はロイドを睨んで頬を膨らませると、プイと顔を背けた。
「悪かったわね、ヘボ推理で。地下に霊廟なんかあるから、幽霊話が絶えないんじゃないの?」
「そうかもな」
結局、料理消失の謎は謎のまま、話は途絶えた。
三人は休憩を終えると、それぞれ元の位置に戻っていった。