ウサギのなみだ。
ウサギ小屋の直前で、俺に気づいたのか
彼女はスキップを辞めた。
でも表情は穏やかに笑ってる。
「こんにちは!」
そんな声が彼女の方から聞こえた。
校庭には俺と彼女の2人。
後ろを振り向いても、誰もいない。
「こんにちはー!」
彼女の声は少し大きくなり、
目線は確かに俺を捉えた。
「…………こんに…ちわ。」
俺は、声を出すのが精一杯で、
その時の声や自分の表情なんて知ったこっちゃない。
とにかく、後にも先にも、
これが俺と彼女の初めての会話だった。