君が好き
1章 片想い
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何時からだろう、気が付けば私は君を目で追うようになっていた。
*
「ねぇねぇ、水月!!」
一番後ろの席に座る彼、イヤホンを耳に付けブックカバーを掛けた本を真剣に読んでいる。そんな彼ののほっぺをツンツンとつっつく。
「あぁ?」
ちょっと不機嫌そうに返事をし、耳のイヤホンを片方外す。
「ねーっ、ホームルーム終わったら図書室に行こう!!」
もちろん「やだー」と言う答えがかえってくるだろう・・・・・・なんて内心思う私。
「えー、なんでー?」
なのに、今日の彼はそう訪ねてきた。
「え、っと・・・・・・」
二人きりになりたいから、なんてことが言えるわけない。
「ほ、本が見たくて・・・・・・」
声が震えた。
だけど彼は・・・・・・
「いいよ、行こう」
そう微笑んだ。
いつもの優しい笑顔で。
私の大好きな笑顔で。