[修正版]草食系彼氏

 部活後いつものように来季のところへ向かおうとしたが、玄関にそれを遮るように人が立っていた。まるで誰かを待っているように、じっと。

「あっ、ねえ」
 その誰かに、私は呼び止められた。

「柊紫苑ちゃんだよね?」
「あ、うん」

 誰だろう、この子?
 そして、思い出した。朝、来季と一緒にいた子だ。
 艶やかな髪をなびかせて、彼女は言う。

「柊さん、来季と付き合ってるの?」

 真剣な声と表情は、ふざけているわけでも、冷やかしているわけでもないということだろう。さっき高に言われた言葉が、今はやけに重苦しく聞こえた。

「……本当なの?柊さん」

 私は……。

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