[修正版]草食系彼氏
私と彼
いつもの日々
「来季、おはよっ」
「おう」
この何だか素っ気ない無愛想な男子は、椎名来季という。輪郭はとても整っているけれど、瞳は丸くて頬もふんわり膨らんでいるから、ハンサムとは言えない。でも、私にとっては一番素敵な人だ。
そして、私こと柊紫苑は、実は彼と交際中なのだ。すなわちカレカノ、またはカップル。
……の、はずなのだけれど。
「ねえ、来季」
「ん?」
来季が振り向いて、眠そうなトロンとした目でもって私を見る。その様子がかわいくて、私の心の奥はほんわかする。
でも、それだけで満足しそうになるのを抑えて、私は言った。
「あのね、その……私の名前、呼んでみて?」
急に黙ってしまった。戸惑っている様子が空気で伝わる。私は少し残念そうに、でもいつものことなので、もう、とふざけて来季の頬をつねった。