[修正版]草食系彼氏
次の日の朝も、憂鬱だった。頭痛は治ったけど、不安なのと怖いのは変わらない。
「おはよう……」
呻くように言いながら教室に入ると、何故か人だかりができていた。気になってその中をのぞき込むと、中心に女子がうずくまって座っていた。
「うわ、きたよ。サイテー女」
「よく学校来れるね」
彼女の周りの女子が、私に向かって次々と暴言を吐く。そして中心の女子が顔を上げたとき、私は何も言えなくなった。
そこには、目を赤くした鳴神紗理奈がいたのだ。
そんな私の前で紗理奈ちゃんが立ち上がり、肉食獣のようにこちらを睨みつけている。
「なんで……っ、なんでこんなことするの……?人の好きな人盗って楽しい!?」
まるで悲劇のヒロインのようにそう吐き捨て、周りの人だかりと一緒に教室を出て行った。後には少しのざわめきと、荷物も置かずに立ち尽くした私がいた。