[修正版]草食系彼氏
私が登校したときにはすでに、廊下や教室で多くの人が騒ぎたてていた。
「陽菜、おはよう。……何かあったの?」
「おはよう紫苑!あのね、あたしもよく知らないんだけど……」
「えっ高が!?」
陽菜の話は大体こうだった。私の机に油性ペンで落書きしようとした女子に、高が「紗理奈を呼んでこい」と言い出して、剣幕に圧されたその子が紗理奈ちゃんを連れてきた。二人は少し口論したあと、紗理奈ちゃんが泣き出してしまい、今先生が二人を別々の個室に連れて行ったという。二人の口論の内容はわからないが、私の名前が頻繁に出ていたらしい。
「高……」
まさか私のために?頭に浮かぶのは、あのときの「俺が何とかする」という言葉だった。本当に、考えてくれていただなんて。
でも紗理奈ちゃんは高が苦手だと言っていた。それなのに口論しただなんて、少しおかしい。紗理奈ちゃんと高の間には、一体何があったのだろう。